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#プラネ
……さて、『七つ星の物語リレー』はここまで。
どうだったかな?
君のお気に入りの輝きは見つかったかい?
#
あなたはここまでの物語を聴いて抱いた感想をプラネに伝えた。
#プラネ
ふふ、そっか。ありがとう。気に入ってくれて嬉しいよ。
……僕にとって、大切な物語達だから……
#
プラネはどこか遠い目をしているように見える。
#プラネ
……もう少しで、終わるんだね。
もう少しで、そっちに行ける……
#
あなたの方に目を戻し、真剣な眼差しで語り掛ける。
#プラネ
……あのね、実は物語はここで終わりではないんだ。
君にはこれから、七つ星に隠された"真相の物語"を聞いてほしい。
それぞれの星が繋がる、本当の物語を。
そうだね、君たちにも親しみやすいような名前をつけるなら……
#プラネ
『七つの原罪リレー』とでも呼ぼうか。
#プラネ
さて、まずは舞台の話からしよう。
この物語の舞台は"星の国"。
とびきり美しい星々が夜空で輝くことから、誰ともなくそう呼ばれるようになった国。
だけどその美しさは、数多の犠牲から成り立っているものでもある。
……その国の空に浮かぶ星は、かつて人だったものなんだ。
星の国では魔法が発達している。
君たちの世界における"科学"のようなものだと考えてくれれば良い。
魔法でエネルギーを生み出し、魔法で光る街灯の下を、魔法で移動する……
そしてそんな星の国を管理していたのが、”スターチス”と呼ばれる星の核だ。
その正体は生物とも機械とも噂されているが、実際のところは誰も知らない。
ただし一つ分かっているのは、スターチスの目的。
それは「"永久不変"の世界を作ること。」
永遠に続く平和を実現するために、スターチスは大きな魔法を星の国全体にかけている。
一定以上大きな罪を犯した者を星に変えるという魔法だ。
……星の国に浮かぶ数多の輝きは、罪を犯した人々が星に変えられて生み出されたものなんだ。
#プラネ
そして……君たちに見てもらった七つ星の物語は、この星の国で実際に起こったことなんだ。
星の国で暮らしていた7人。
テリオス、ファベロ、マーリャ、ミュート、アレイシア、トカール、イテル……
これらの星は、"その7人自身"なんだ。
"星にまつわる物語"というのはあくまで建前。
物語は全て、7人の人物が人の体を持っていた頃の話。
7人は、とある"罪"を犯して、星にされてしまったんだ。
#プラネ
……少し、僕自身のことも聞いてもらっていいかな。
僕は様々な異世界を旅する旅人だったんだ。
僕が持っている”特別な鍵”を使って扉を開けると、別の世界に繋がる。
それを使って、個性的な世界をたくさん旅してきたんだ。
宝石の名前を持つ神様がいる世界、歌を歌うコスモスがいる世界、人間の王と魔族の王が統べる世界……
そして、その中に”星の国”もあった。
……だけど、星の国へと繋がる鍵は、"僕の始まりの場所"に大切にしまってある。
もう……必要ないから。
#プラネ
……僕は星の国で、彼ら7人と出会っていたんだ。
一人一人と出会って、話をして、時には冒険をした。
#プラネ
星の国で最初に出会って、原っぱで一緒に星観測をしたテリオス。
珍しい本を一緒に見つけにいったファベロ。
幻想的な夢の世界を教えてくれたマーリャ。
物静かだけど話してみると面白いミュート。
歌の魔法で花を咲かせてくれたアレイシア。
手を握って温もりと愛を伝えてくれたトカール。
空っぽの日々を埋める思い出探しをしたイテル。
皆、みんな……かけがえのない友達になって、お別れを言って。
#プラネ
だけど、皆星になってしまった。
これから話すのは、僕が何年もかけて星の国を旅して集めた情報。
孤独の旅の末に見つけた、真実の物語……
#プラネ
まずは”星眠り書房店主”ファベロの話から始めよう。
君たちが見た物語では、ファベロの謳う物語を聴いた者が眠りについてしまっていたよね。
ファベロの正体は、呪いの力を宿す歌声を持つ”終焉の歌姫”なんだ。
正確には、それを再現するべく作り上げられた存在。
ファベロは自らの書店”星眠り書房”に、自分の様々な呪いの力を込めた、禁術の魔導書を置いていた。
彼女は”終焉の歌姫”の使命通り呪いを振りまいて生きてきたが、同時に本当にそれでいいのかという迷いも心の中にあった。
そこで、自分の呪いの力を魔導書に込めて、人々に使ってもらうことで世界の行く末を見守ろうとしていた。
#プラネ
そしてそこから繋がる星は、”澄んだ心の星観測者”テリオス。
テリオスは物語の中で、”願いを叶えてくれる星”についての情報を探していた。
その中でファベロのいる”星眠り書房”に辿り着く。
ファベロの書店は色んな建物のドアに空間転移することができた。
なんでも、強い願いを持っている人の前にそのドアは現れるらしい。
そうして、各地に呪いを振り撒いていた。
「母親とまた話したい」というテリオスの強い願いは、鍵となり、"星眠り書房"への扉を開いた。
そこでテリオスはファベロに目的の本をもらい、母親を蘇らせてハッピーエンド。
これが君たちが見た物語だった。
#プラネ
だけど……真相はこうだ。
ファベロから受け取った本はあくまでも、呪いの力を宿した本。
呪いは呪い。全知全能の魔法じゃない。
ファベロの呪いの力には、実は「適切な犠牲」が必要だった。
でもテリオスは何も犠牲を払わなかった。
ファベロはそのことについてテリオスに教えていなかったから、仕方ないことだった。
……テリオスの元に実際に戻ってきたのは、母親の形をした人形のようなものだったんだ。
失敗だった。
……ファベロには悪気はないんだよ。
彼女は願いを叶えてくれるわけではなく、あくまで一番それに近い呪いを見つけて、渡してくれただけなんだ。
「犠牲」について教えなかったのも、呪いの力がどう扱われるかを、人々に委ねたかったから。
彼女には人の役に立ちたいというはっきりとした思いは持っていなかった。
あくまでまだ、迷いの中にいたんだ。
だから、テリオスの件も、本当にこれでよかったのかという思いはあったみたい。
……こうして、死人を生き返らせるという”罪”を犯したテリオス、そしてその罪を手助けしたファベロも、スターチスにより星にされてしまった。
#プラネ
やがてテリオスがしたことについての噂は少しずつ、星の国中に広がり、次第に尾ひれをつけていく。
「死んだ人を蘇らせた少年がいる」
「彼は母親と幸せに暮らしている」……
そして、「禁忌の魔術書が置いている書店があるらしい」とのことで、”星眠り書房”の存在も広く噂されるようになった。
#プラネ
さて、その噂は”愛に散った椿の妖精”トカールの耳にも届いた。
その時のトカールは、光の病が進行し、弱っていく様子を見守るしかない最中だった。
だから、トカールは“星眠り書房”の噂にすがった。
禁忌の魔術書が置いている書店なら、光の病を治す本も置いてあるかもしれない……とね。
強く願う者の前に、”星眠り書房”の扉は現れる。
ある日、トカールが開いた扉は、”星眠り書房”に繋がったんだ。
店のカウンターには一つの封筒が置かれていた。
ファベロが星になる前に残した物だ。
中には「店主不在。本はお好きに持って行ってください。」と書かれた手紙と、どの本棚にどんな本があるのかまとめたリストが入っていた。
トカールはリストを頼りに、「病を治す力」を持った本を持って帰った。
本によると、その力を使うためには本を持った状態で光に触れなければならないらしい。
普通なら何てことのない手順だったけど、トカールにとっては違う。
花の妖精が人に触れるのは、星の国では禁忌とされている。
だから、触れてしまうと確実に、トカールは星にされてしまう。
#プラネ
だけど、トカールに迷いは無かった。
彼女は自分の花唄が光を苦しめる呪いだと思い込んでいた。
だから自分が消えるなら……それで光が元気になるなら……何も迷うことはない。
そう考えて、彼女は光に触れたんだ。
こうして、トカールは星に変えられた。
トカールが使ったのはファベロが生み出した呪いの力。
だから本来なら、「病を治す力」は不完全で歪んだ効果を発揮するはずだった。
……テリオスが母親の屍を呼び戻したようにね。
だけど、一つ偶然が起こったんだ。
ファベロの呪いの力の完全な発動には「適切な犠牲」が必要。
トカールは光に触れた瞬間、スターチスにより星に変えられた。
つまり、トカールは自分自身を”犠牲”として払うことになったんだ。
これによって、光は病から完全に回復することになった。
彼女にとっては……これはハッピーエンドと言えるのかもしれないね。
#プラネ
次は”真実の歌姫”アレイシアだ。
彼女の物語はトカールと、そして”沈黙の少年”ミュートとも繋がる。
アレイシアはトカールと出会ったことがあるんだ。
偶然にも二人はお互いに花が好きで、仲良く話をして友達になった。
そこでトカールはアレイシアに、”椿の花唄”を教えた。
花唄は花の妖精が歌うことで、親に花言葉にまつわる祝福を与える唄。
本来なら花の妖精以外が歌ってもその効果を発揮しない。
だけど、アレイシアは歌の魔法使い。
「きっとあなたなら、花唄の魔法が使えるはず。だから、あなたが大切だと思った時に、大切だと思う相手に使ってあげて。」
トカールはそうアレイシアに伝えた。
#プラネ
しばらく時が経って、アレイシアはミュートに出会う。
君たちが見た物語では、アレイシアがとある公園で子供と出会い、花を贈った。
その子供こそが、ミュートだったんだ。
アレイシアはミュートに「大人の世界は綺麗だ」と伝えた。
そして、ミュートに”椿の花唄”を歌った。
椿の花言葉には「気取らない優美さ」というものがある。
「この子の目に、嘘のない美しい世界だけが映りますように」という願いを込めて、彼女は歌った。
彼女は大人の世界が嘘に塗れていることを知っていながら、それをミュートに知ってほしくないために”嘘”をついた。
この嘘はそれまでアレイシアが積み重ねてきた真実の塔を一気に崩すものだった。
だから、それはスターチスに”罪”と見なされ星に変えられてしまった。
ミュートはこの時のアレイシアの言葉を信じ、そして椿の花唄に込められた願いも成就した。
結果、ミュートは「大人達の世界は美しいものだ」と信じるようになった。
だから、彼はイテルたちの禁忌の愛を、美しいものと捉え、沈黙を選んだんだ。
こうして、ミュートも”沈黙”の罪により、星に変えられた。
#プラネ
さて、彼が目にしたイテル達の最期は、”悪夢回収屋”のマーリャの物語へと繋がる。
マーリャが売って歩いている、吸えば見たい夢が見られるシャボン玉”utakata”。
これは星の国の住民にとって魅力的な嗜好品だったけど、一部中毒に陥る住民もいた。
中毒に陥ると、夢と現実の区別がつかなくなってしまうんだ。
#プラネ
“失意の歌劇団マスター”イテルとその恋人の女性も、utakataの中毒患者であった。
君たちが見た物語では、彼らはどこかへ旅立って幸せになったようだったね。
だけど実際は……彼らは心中した。
utakataの幻覚症状により、もっと遠くへ、夢のような理想の世界へと行ける気がしたんだろうね。
そして、utakataを広めたという罪によりマーリャが、禁忌の愛たる心中を実行した罪によりイテルと恋人が、スターチスにより星に変えられた。
#
あなたは息を呑んだ。
これが、プラネが集めた"物語"。
何年も孤独の旅を続けてたどり着いた真相。
#プラネ
……これが、7人に起こった出来事の全てだよ。
僕の、大切な友達である7人全員、"罪の連鎖"により星になってしまったんだ。
7つの星が繋がって出来上がった星座は、星の国の夜空で残酷なまでに綺麗に瞬いている。
誰も罪を犯そうなんて思ってなかった。
だけどそれぞれの行動が、思惑が噛み合って連鎖していった結果、こうなってしまった。
#
あなたは、悲しみを噛み締めるように語るプラネを、黙って見ていた。
#プラネ
……僕はね、彼ら7人のことが大好きだったんだ。
君がここまで見て来た演者達の姿はね、僕がプラネタリウム上に再現したものなんだ。
僕の大切な記憶と、それを語るのにぴったりな演者達を元にね。
だから、実際に会話できるわけじゃない。
決まったプログラムを、ただ繰り返すだけ。
だけど、それをやることには意味があったんだ。
……僕は、7人のところへ"行きたかった"。
僕も……星になろうと考えたんだ。
そこで、計画を考えた。
このプラネタリウムを通して、星の国で起きたこと、そして星の国の存在を別世界の住民……つまり君に明かす。
すると、星の国に興味を持った新たな人間がやってきて、「"永久不変"の世界」が崩される可能性が生まれる。
それはスターチスにとっては、目的を妨害される許し難い行為だ。
その可能性を排除するため、僕の行動はきっと"罪"と見なされる。
#
罪……ということは星にされるわけだ。
だけど、それは星の国の住民の話ではないのか?
あなたは疑問に思って、尋ねた。
#プラネ
実は違うんだ。
星の国の住民だけではなく、星の国に入国した者は「星の刻印」を与えられる。
それを持つ者は、スターチスの"粛清"の対象になるんだよ。
そして、その刻印は……
#
プラネは手で前髪をかき分けた。
その左目には……
#プラネ
ここにある。
#
刻印があった。
#プラネ
だから、僕が"罪"を犯したのをスターチスは見逃さない。
きっと僕を星に変えるはずだ。
……この一連の計画を実行したい。
それから、愛する星の国の7人の物語を永遠に誰かの記憶に残したい。
その思いから、僕はこのプラネタリウムを作り、”忘れられない物語体験”となるようにプログラムを組んだ。
そのプログラムこそが『七つ星の物語リレー』なんだ。
#
プラネは左目を抑え始める。
#プラネ
……あぁ、目が痛む。
だけど、この痛みは彼らも通った痛みなんだね。
やっと、一緒になれる……
#
プラネの体は少しずつ薄くなり、星屑のような光が空へと上がっていく。
#プラネ
これで『七つ星の物語リレー』もとい、『七つの原罪リレー』の物語はおしまい。
君に嘘をつくことになってしまってごめんね。
……そんな顔しないで。
彼らが作る星座の一部になれるなら、こんなに嬉しいことはないよ。
でも……もしよかったら、僕達のことをずっと覚えてていてほしい。
そして、時に夜空を見上げて、僕達のことを思い出してほしい。
君の記憶の中では、僕達はどんな星座に映るだろうか……
いつか……教えてね。
『Octravel』
#
星になっていくプラネを見送った後、あなたはプラネタリウムの椅子に座ってぼんやりしていた。
異世界の旅人、プラネ。そして7人の星達。
全員が、今頃星の国の夜空で瞬いている。
プラネはこの”エンディング”で、本当に幸せだったのだろうか。
……彼女が星になった時、心に”星たちの歌”が流れ込んできた。
その歌は、「いつか戻れたなら、また手を繋ごう」と歌っていた。
まるで、本当はまた元の姿に戻りたかったと言うように。
それが、胸に引っかかっていた。
かと言って、自分が彼らのためにできることなんて何も……
何も……
……いや、何だろう、この感覚は。
真っ暗な中に、一筋の光が見えるような……
もしかしたら、という予感。
何がそうさせているのかと思い、あなたは記憶を辿る。
真っ先に思い出したのは、プラネタリウムに映し出された7人の星達。
そこにプラネの星が加わった様子を想像する。
プラネは7人全員と繋がっていた。
言わば『七つの原罪リレー』をその中心で観測した者だ。
プラネが星になるとしたら……ここに入るだろうか。
根拠なんて何もない、ただの想像だ。
だが、それが次の糸を手繰り寄せた。
8つの星を結んだらできる形……星座……
……鍵……?
そうだ、プラネは鍵を使って色んな世界を旅していたと言っていた。
その鍵があれば……星の国に自分も行けるかもしれない。
そこで何かができるのではないか?
#プラネ
……星の国へと繋がる鍵は、"僕の始まりの場所"に大切にしまってある。
#
プラネはそう言っていた。
始まりの場所……
#プラネ
星の国で最初に出会って、原っぱで一緒に星観測をしたテリオス。
#
そうだ、彼女は7人のうち、テリオスと始めに出会ったと言っていた。
テリオスに関係する場所……どこかで見た気がする。
記憶を探る。探る。
そういえば……あの時廊下にかかっていた絵画。
今なら分かる。あれは星の国の写真だ。
草原と星空、花畑……
7人に関係する場所が、それぞれ収められていたんだ。
だったら、テリオスに関係する「草原と星空」の写真。
あれがプラネの"始まりの場所"と言えるのではないか。
あなたは廊下へ行き、「草原と星空」の写真を壁から外す。
すると額縁の裏に……あった。
鍵だ。
間違いない。きっとこれだ。
あなたは鍵を使うため、手頃な扉を探した。
この建物の出入り口が使えそうだ。
内側には鍵穴は無かったので、外へ出て扉に鍵を挿す。
回す。
扉を開くと……そこは草原だった。
空は暗く、美しい星空が広がっている。
すぐにテリオスのことを思い浮かべた。
きっとプラネも同じように扉をくぐって、ここで最初にテリオスと出会ったのだろう。
ここがテリオスのいた場所だとすれば……
あなたは辺りを歩き回った。
しばらくして、一軒の古びた小屋を見つけた。
実際にはどの建物のどの扉でも良いのだが、何となくそれが一番"ヒット"しやすいような気がしたのだ。
あなたは強く願った。
プラネ達8人の姿を……物語を思い浮かべ、彼女らを星から元に戻したいと念じながら、扉を開けた。
中には……カウンターと本棚があった。
誰もいないようだ。
そう、ここは"星眠り書房"。
もちろん店主、ファベロは不在だ。
カウンターには彼女が残した封筒があった。
中には本のリスト。
そのリストを参考に、あなたは本棚を探す。
しばらくすると……見つけた。
「星に変えられた者を元に戻す本」だ。
中を開いて見てみると、メモ用紙が1枚挟まっていた。
見た感じ、リストの文字と筆跡が同じようなので、書いたのはファベロだろう。
そこには……この本の呪いを完全な形で発動させるための「適切な犠牲」について書かれていた。
その犠牲は……「対象者に関する過去、及び未来の記憶」。
「未来の記憶」というのはつまり、これから先も呪いの対象者には二度と会うことが出来ないということらしい。
あなたには二つの選択肢がある。
一つ目は「記憶を失ってでも、二度と会えなくても、8人を元に戻す」。
8人の「いつか戻れたなら、また手を繋ごう」というかすかな希望を叶えることができる。
ただし、彼らの物語を知っている者も、語り継ぐ者も、あなたの世界にはいなくなる。
二つ目は「8人の物語を胸にしまい、星の姿のままそっとしておく」。
これなら、プラネが「覚えておいてほしい」と願った物語を未来へと持っていくことができる。
ただし、8人がこの地で手を繋ぐことはもう二度とないだろう。
あなたは、深呼吸した。
7人が語り継いだ物語を、プラネの旅のことを思い返し、思考を巡らせた。
……ほどなくして、決意は固まった。
あなたが選ぶ結末は……
A:記憶と引き換えに、8人を元に戻す
B:8人の記憶を胸に、そっとしておく
⚫︎Aを選んだ場合
あなたは、8人を元に戻すことを選んだ。
本に書かれている手順を実行すると、あなたの体は光の泡に包まれていく。
まるでシャボン玉。
”悪夢回収屋”のマーリャの物語を思い出す。
これまでの出来事が、8人の物語が、夢であったかのように、記憶から剥がれ落ちていくのを感じる。
視界が、真っ白になった。
……あなたは目を覚ました。
小鳥のさえずり、窓から射し込む朝日。
あなたはまだ夢見心地な身体をゆっくりと起こす。
今日は休日だ。いつもより2時間近く多く寝たおかげで、目覚めは悪くない。
朝食を用意し、ニュースを見る。
いつもと変わらない朝のルーティン。
朝食を食べ終わったあなたはいつも通りポストへと向かう。
中には……何も無かった。
今日一日やることでも考えながら歩こうかと、あなたは散歩に出かけることにした。
その少し後、一つの人影があなたの家のポストの前に立った。
髪は長く、左右に三つ編み。頭には学帽のようなものを被っている。
その人物はポストを開け、中に何かを入れた。
それが"特別な鍵"であることに、あなたはほどなくして気づくだろう。
エンドロール『星の界』(プラネver.)
⚫︎Bを選んだ場合
あなたは8人をそのままそっとしておくことにした。
その代わり、8人の物語をこの先の未来へずっと持っていくことにした。
それからしばらく、あなたは文章を書くことに時間を割いた。
記憶が色褪せないうちに、あの物語を、形に残したい。
その一心で、ひたすら書き、ついには完成させた。
タイトルは『プラネと七つ星の物語』。
窓の外を見ると、辺りは真っ暗。
ちょうど深夜の時間帯だった。
あなたは願いを込めて、ネットの小説サイトの投稿ボタンを押した。
「多くの人に届かなくても良い。誰か一人でも、心にこの物語を留めてくれますように」という願いを。
あなたは文章を書き上げることに夢中で気付いていなかったが、スマホにあるニュースの通知が来ている。
そのニュースは、「今夜、”かぎ座”流星群がピークに」と伝えている。
あなたが願った瞬間、頭上の遥か先では流れ星が尾を引いていた。
その周りには、お互いに会話するように瞬く、鍵型の星座が並んでいたかもしれない。
エンドロール『星の界』(ピリカver.)
